「リトルナイトメア」評価レビュー|言葉のない悪夢が語る不気味なダークアドベンチャーの魅力

サムネ画像「リトルナイトメア」レビュー

ホラーゲーム「リトルナイトメア」のレビューを知りたい方へ。

セリフも説明もなく始まる悪夢!

ゲームくん
ゲームくん

海外発のホラゲー「リトルナイトメア」を紹介するよ!

スウェーデン発のダークアドベンチャーゲーム。

子ども視点で描かれる異様な世界…。

まるで不気味な絵本の中に迷い込んだかのような独特な雰囲気を生み出しています。

基本情報

発売日:2017年

ジャンル:サスペンスアドベンチャー

開発元:Tarsier Studios

対応機種:Switch・PS4・ Xbox・PC 

美しくも異様なビジュアルと、静かながら常に張り詰めた緊張感。

敵に見つからないように息をひそめ、探索とパズルを繰り返す緊迫感は、単なるホラーゲームとは一線を画す深みを持っています。

当記事では、「リトルナイトメア」の世界観やゲームプレイについて紹介します。

悪夢のような世界

「リトルナイトメア」の特徴は、独特で印象的なビジュアルと世界観です。

暗い中に差し込む光や、ぼんやりとした色彩が恐怖だけでなく、どこか儚さや寂しさも感じさせます。

絵本をめくっているような感覚にさせてくれます。

家具や物のサイズ感が異常に大きく、プレイヤーが操作する小さな少女がまるで小人のようです。

これによって、子どもの視点で感じる「世界の恐怖」と「無力感」が見事に表現されています。

少女はなぜ逃げるのか?

「リトルナイトメア」にはセルフや説明が一切ありません。

  • 主人公の少女がなぜここにいるのか?
  • ここはどこなのか?
  • 主人公の目的は何なのか?

全ての説明がないままゲームが始まります。

シックス

プレイヤーは疑問を抱えたまま、少女に襲い掛かってくる怪物から逃げ続けます。

疑問は最後まで明確になることはありません。

プレイヤーは自身なりの解釈をしていくことになり、このゲームの面白さの一つです。

海外ゲームだからこそ生まれた言葉なき恐怖

「リトルナイトメア」はスウェーデンのゲームスタジオ「Tarsier Studios」で開発されました。

この海外製という点は、日本人の私たちにない空気感や表現方法に大きく影響しています。

日本のホラーゲームが「霊的・感情的な恐怖」を中心に描くのに対し、リトルナイトメアが提示するのは「構造的な不安」や「不条理な世界」


プレイヤーに与えられるのは明確なストーリーではなく、断片的なシーンや環境描写だけです。

隠された意味を自ら考え、補完しながら進んでいく――この察するスタイルは、ヨーロッパのアートや文学にも通じる、解釈を委ねる表現手法といえます。

敵として登場する“大人”たちは、ただのホラーキャラクターではなく、「消費し、押しつけ、支配しようとする存在」の象徴にも見えます。

これは、消費社会や社会構造への皮肉とも取れ、寓話的・哲学的な視点を強く感じさせます。

そのため、「リトルナイトメア」は恐怖や不気味さを演出として消費させるのではなく、「この世界は何を映しているのか」をプレイヤー自身に問いかけてくるのです。

このように、海外文化に根差した表現手法と社会的テーマが、日本のゲームにはあまりない深みをもたらしており、「リトルナイトメア」の唯一無二の魅力になっています。

緊張感のあるゲームシステム

「リトルナイトメア」の操作は、ジャンプやつかむ、しゃがむといった基本的なアクションが中心です。

横スクロール系のゲーム画面で、探索をしながら進んでいきます。

ギミックを解いたり、障害物を飛び越えるようなアクションもあります。

基本は敵に見つからないように進むステルスゲーです。

敵に見つかった時の焦りとパニック感は非常にリアルで、プレイ中は常に張りつめた空気が漂います。

主人公は何者なのか?

「リトルナイトメア」には、プレイヤーの心に強く印象を残すシーンがいくつもあります。

中でも特に忘れられないのが、シックスが極度の空腹に襲われる場面です。

物語の序盤では小さなパンを見つけて満たされる一瞬があるものの、後半に進むにつれて彼女の飢えは次第に深刻になり、ついには衝撃的な行動をとります。

このシーンは単なるゲーム内イベントを超え、「生存本能」と「道徳」の狭間をプレイヤーに突きつけます。

このシーンを機にプレイヤーは「主人公は何者なのか?」という疑問が大きくなります。

セリフがないために、主人公が何を考えているのかが全く分からないからです。

彼女が何のために行動しているのかを知りたいがために、プレイしているといっても過言ではないくらい、気になってしょうがない。

総評:まるで残酷な童話のような作品

「リトルナイトメア」は単なるホラーアドベンチャーにとどまらず、深いテーマ性を秘めた作品です。

言葉を使わずに描かれる世界は、子どもが大人の世界に抱く恐怖や不安を象徴しているように感じられます。

異様な大人たちは、社会の理不尽さや消費主義、暴力性を暗喩しているとも言えるでしょう。

「飢え」や「欲望」といったテーマも随所に散りばめられており、生きるための選択がプレイヤーに重くのしかかります。

曖昧で解釈の余地を残すストーリーテリングが、多くのプレイヤーに深い印象を与えています。

見るものに解釈をゆだねる…海外製の作品らしさが出ているゲームでした。

「リトルナイトメア」シリーズ

Little Nightmares(リトルナイトメア):2017年発売

Little Nightmares II(リトルナイトメア2):2021年発売

Little Nightmares III(リトルナイトメア3):2025年発売

各作品は直接的な続編というよりも「世界観を共有した連作」

プレイヤーは毎回新しい視点で、「この世界で起きていること」を知っていく構成になっています。